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矢内原忠雄土曜学校講座アウグスティヌスの『神の国』No.152

 投稿者:旅人メール  投稿日:2010年 4月 6日(火)06時46分41秒
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  (「第30講」その5)

 第2章~第10章

 第2章から第10章までは、肉体は燃える火の中で、永遠に存在できるかという問題を論じている。

 書くのは略して、お話だけしておきます。ちょっと意外な問題を非常に詳しく述べています。私たちはそういうことを考えないですね。

私は考えないのだが、最後の審判では、悪人は永遠の火の中に投げ込まれると書いてある(黙示録§20:14~15)。アウグスティヌスは、永遠の火を霊的な比喩として取ることで満足しない。そう取るなら、そう取っても良いが、しかしこれは、物質的に本当の火と解釈する方が、なお良いのだと言って、本当の火と解釈します。

そうすると、最後の審判で悪人は肉体が復活して、裁きの火の中に放り込まれるのですから、しかもその火が永遠に消えなくて、悪人の苦痛が永遠であるというのだから、それでは体が焼かれてしまわないか。

いったい、火の中に放り込んでも体が焼かれないというのは、どういうことなのだろう。これはおそらく、アウグスティヌス一人の疑問でなく、当時の難問の一つであったのでしょう。

 それで、非常に詳しくそのことを論じているのです。いろんな証明の論述をしていますが、第一に言っていることは、こうなのです。

 火の中、最後の刑罰の中では、肉体は永遠に苦しむ。苦痛は継続するが、死なない。このように、苦痛と死との関係を、初めに論じています。苦痛は死を必然的に結果しない。

いったい苦痛を感じるのは霊魂が苦痛を感じるのであって、肉体そのものが感じるのではない。肉体のある個所において、ある事柄またはある不調和が起こると、それを人の魂が苦痛に感じる。

あまりにその苦痛を感じるときには、魂が肉体から飛び出す。魂は肉体に留まりたいと思うのだが、魂の意志に反して、肉体から飛び出す。これが死になる。

最後の審判においては、火に放り込まれて、また魂は苦しいから、肉体を飛び出たいと思うが、それは許されない。その時は、霊魂の意志に反して、肉体に留まっているようにされる。これが第二の死というものである。

第一の死は、霊魂が自己の意志に反して肉体から飛び出すことであり、第二の死は、霊魂が自己の意志に反して肉体の中に留まるようにされることである。だから肉体が苦痛を受けても、死なないことがある。

死ぬ死なないということは、本来霊魂の問題として考えてみると、第二の死ということは、すなわち霊魂が肉体を離れることができないことが、第二の死であって、第一の死は、霊魂が肉体を離れるということである。

だから、焼かれても消滅せずに、苦痛だけを永遠に受けるということは、あり得るのだ。これが第一の論点です。

 第二の論点は、肉体は火の中に放り込まれたら消えてしまうと言うが、必ずしもそうとばかりは限らない。世の中を観察すると、理性によって解し難い不思議な事実が、自然界に幾らでもあると言って、不思議な事実なるものを非常に沢山列挙しています。これは、非常に面白い。

 ある自然科学者―――博物学者―――の言うところによると、サラマンダーという火の中に住んでいるヤモリのような動物がいると言う。それから、熱いお湯の中に住んでいる生物がいる。そういうことをアウグスティヌスが書いています。

火の中に住んでいるというのは、アリストテレスの書物の中にあるのだそうですが、しかし、アリストテレスは、これは確かではない、そういう話は聞いたが、自分は確かではないとことわっているそうです。

お湯の中に住んでいる生物はいますね。しかし、火の中に住んでいる生物というのはいるのかね。私は知らないね。

 それから実に奇抜なことを言っています。シシリー島の有名な火山は、太古から火を噴(ふ)き続けているが、消滅しない。火は燃えるが消えてなくならないとアウグスティヌスは言っているのだが、それはどうかね。

これを物体は火の中にあっても、消え失せないという例として挙げていますが、どうかね。そういうわけで、火の中にあっても、消えない物があるのだから、神は火の中にあっても、消えない性質を復活体に与えることはあるだろう。

 それから、多くは火に関しているが、いろんなことを彼は書いている。火は赤く燃えて熱しているものだ。けれども、火に触れた物を黒くするという。それから石を火の中に入れると、これを白くする。同じ火の中に入れても、物によって白くなる物もあれば、黒くなる物もある。

 それから木炭、炭だね。炭は非常に長もちするもので、土地の境界を決める時に、境界に柱を立て、その下の土地に木炭を埋めておく。後で争いが起こった時に、木炭のある所によって、土地の境の争いを決定する。それくらいに木炭は長もちする。

ところが、木炭の原料である木材は、非常に堅いが、腐ってしまう。木炭は非常に脆い質であるが、長もちする。

 それから、アスベスト(石綿)は冷たいが、火をつけると、火がいつまでも消えない。アウグスティヌスは、自分が見たわけではないが、聞いたと言って、書いています。

 冷たいで思いだしましたが、アウグスティヌスは籾殻(もみがら)は不思議なもので、雪より暖かいものであるが、雪を消えないようにする、大変不思議だと思うって書いています。

 それから、石灰というものは、実に不思議なものである。これは、水をかけると熱くなる。ところが、油をかけても熱くならない。

 クジャクの肉は腐らないという説があって、アウグスティヌスは自分で食べたそうです。食べて残りがあったから、残りをしまっておいたけれども、何ともない。プラトンの肉は腐ったが、クジャクの肉は腐らない。これは大変不思議だ。

 磁石という石を見たことがある。これは鉄を吸いつける。そしてその磁石に吸いつけられた鉄にまた鉄をもって行くと、また吸いつけられる。鎖のようにずっとつながった。実に不思議だ。


(以下次回に続く)

関連ブログ 内村鑑三現代訳 http://green.ap.teacup.com/lifework/
 
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